街を歩いていると白衣を着た看護学生をよく見掛けます。
人口に対して、看護学生の割合が多いのは気のせいではないよう。 フィリピンでは年間に約1万人(全体の85%)の看護師が海外で就労しており、看護師の輸出は外貨を稼ぐ重要な貿易と言われているようです。
この人的な労働力を「最大の輸出品」とフィリピンが位置づけているために、優秀な人達は海外へ行き、フィリピンの医療現場では更に看護師不足や医療レベルの低下が深刻化しているという話も聞きました。
日本でも既にフィリピン人看護師の受け入れが始まっていると思います。
その行程を調べてみました。日本での就労条件としてはまずフィリピンでの看護師資格を取得していること。 3年間の臨床経験があること。
日本入国後はこのようなプログラム。
半年間の日本語研修、そして病院での就労、研修。 最終的には日本の看護師国家試験の合格を目指しているわけです。
滞在期間は3年間認められていて、この3年の間に試験に合格し、看護師資格の取得ができれば、日本人看護師と同等以上の報酬が保障され、正式に病院での就業が可能となる。
ということらしいです。
いくらフィリピンでの看護師資格を持っていても、その国の言語で資格取得をしないといけないのは最も。 例えばニュージーランド、オーストラリアなどでは、外国の看護師資格を有する看護師に対して、優遇措置によってその国の看護師資格を与えるなどがありますが、その前に言語の壁が立ちはだかっています。 そこに至る条件としてIELTSやTOEICなど高得点を求められています。
もちろん看護師として働く上である程度の言語能力がないと患者さんともスタッフともコミュニケーションが取れないことになるので、それは仕方ないこと。
しかしフィリピン人看護師が日本の国家試験に不合格だった場合は帰国!という条件です。
自分のケースで考えると、母国語の日本語で国家試験を受けましたが、覚える量が膨大で最後にはゴロ合わせで無理やり詰め込み、一気に忘れました。 いま受けたら、確実に落ちる自信があります。 一度落ちた人が次の年に受けると合格率は30%を下回ると言われるほど、結構しんどいものです。
そういう状況をよく分かっているので、外国人が3年間の間に言語を学び、更に国家試験に合格するというのは至難の業。 かなり無茶な難題だと思われます。
そんな理不尽さについて、フィリピン人に話してみました。
すると彼女は 「たとえ国家試験に合格しなかったとしても、その間の3年間の就労が認められているだけで幸せなのよ。 日本に就労に行く人達がフィリピンでどんな生活をしているか分かる? その家族たちがどれほど助かっているか分かる?試験に受かれば更にいいけど、受からなかったとしても十分に満足していると思うよ。 」
と言われました。
ちなみにフィリピン人の一般的な月収は8,000ペソ(20,000円)、看護師は10,000ペソ(25,000円)だそうです。
確かに貧困に喘いでいる人が多いフィリピン。しかし選ばれた優秀な人だけが日本に来れる狭き門なわけです。フィリピンでも4年間も大学に通い十分に勉強はしているわけです。
この問題については賛否両論あると思います。
生活や文化の違う外国人が日本の組織に馴染めるのか? 特にお年寄りの患者さんは外国人ナースに萎縮してしまうのでないか? その前にスタッフが馴染めるのか?
しかし最後にフィリピンに留学に来て、フィリピン人と話してみて気付いたこと。
日本でフィリピンパブが流行っている理由も納得ができます。
それはフィリピン人がホスピタリティ精神に溢れているから、文句も言わずにコツコツと気長に仕事をする几帳面さも持っているから(休みはしっかりと取りますが)、順応できる柔軟さを持っているから、笑顔が素敵だから。(改善すべき点も沢山ありますが。 向上心があまりない、のんびりすぎる、超楽天的など^_^;)
我慢・忍耐が重要の看護師の仕事ですが、フィリピン人の特徴からして看護の仕事は適職だと思います。
同じ看護師として、いつかフィリピン人看護師が同等の立場で働ける日が来ることを願いたい。